歴史的な一日

アメリカ次期大統領が選ばれ世の中が'CHANGE'の声に酔いしれている最中、わたしはパート先で砂を噛むようないや〜な思いをしていました。

パートに入って一ヶ月も経っていないのにもう後輩が出来た私。始めたのは一週間くらいしか違わないのに軽く先輩面かましてみたりして。いや、良い意味でよ。こうしたほうがいいみたいよ、とか教えてあげたりとかね。4、50代のおばちゃんばっかのパートなので、新しく入ったバイトちゃんはなんだかあたしになついている様子。25歳やって。でも既に二人の子持ちで見た目はおばはんっぽい子やけど。ちょっと前なんか、財布を忘れたって言う彼女に帰り際、お金貸してあげよっかってオファーまでしてしまったもんね。いやいやいいですよ、って断られたけど。まぁ、それはよしとして、私も気楽にはなせる仲間が出来てよかったと思っていたよ、今まではさ。

ある晩、大量に残った廃棄処分のおかずやお弁当を目にして、私たちは、もったいなすぎるやろう、捨ててくださいっていわれとったけどちょっと持って帰ろうかってことになり食べれそうなのを物色。なんか悪い事(でも無いんやけどさ)を一緒にしよると変な連帯感つうか、仲間意識みたいなのうまれるよね。ふふ。
すると彼女は、二人で楽しく物色中、

「あのぉ、旦那さんと一緒にできる仕事があるんですよ。。。」と。

私は一瞬、この子は一緒に今の仕事を辞めてそっちの仕事を始めたいから誘っとるんか?と思った。

とりあえず、彼女の意図が見えんかったので「へぇ、」とだけ相づちを打ってみた。そしてら、今の仕事は辞めないでサイド的な感じで出来るんですよ、やって。なんかヤ〜な空気が襲ってくるのが耐えきれなくなって、これ以上何も言うな、という気持ちを込めて彼女の目を2秒くらい見つめてみました。でも彼女は私の視線を振り切り、

「簡単なビジネスなんですよ、商品を友達とかに紹介して契約結んでもらって、契約が取れた分だけ利益になるってやつなんです。で、その紹介した人が契約とれたら自分にもお金が入るっていう。。。私も始めたばかりでまだ詳しく説明できないんですけどね。」って彼女。

つうかそれ、ネズミやん?って口にするのも躊躇われるほどのお誘いやったので、何も言えないでいると、私の顔に「つうかそれ、ネズミやん?」って書いてあるのを読み取ったのか、

「いやいや、違うんですよ。全然そんなネズミ講とかじゃなくってですね。まぁ、今日お返事貰えなくてもいいんで。。。今晩旦那さんにきいてみて。。。。。。そしたら今度。。。私もまだ。。。。」

。。。

そっから先はショックで彼女の声が遠くなり、数分間、私の耳に届かなくなりました。

いや、いいんやけどさ。別に友達じゃないし、ただのパートに新しく入って来た子にねずみ講に誘われてしまったくらいさ、なんて事ないやん?この職場だけが自分の世界じゃないわけやし。お金かそうか?って気軽に言ってしまったのが変に誤解させてしまったかもしれんのやし。そしたら私にも少しは負があるわけやし。それに、この子はそんなに悪い子じゃないかもしれん。お金の貸し借りは例え小額でもしたらだめですよ、はは、なんて微笑みながら私にいってくれたやん?

その後、ねずみ講の話なんて無かったかの様に振る舞っては見たものの、その夜は何でか知らんけど彼女に変に気を使ってしまってよけいに疲れました。ネズミに誘われるのがこんなにショックだとは。

地球の裏側ではオバマフィーバーで紙吹雪が舞っているというのに、私の心には砂嵐が舞っていました。