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オフィスで泣くのは何回目かな。最近凄く忙しくて感情のコントロールが難しい。少し前までは上手く行かない事があると自分以外の全てのせいにしてむかついていた。でも昨日は自分に腹が立って悔しくて仕様がなかった。

やってみたいプロジェクトがあって、ゲイのシニアデザイナーにまかされて仕事をしていた。それ以外にも山ほど仕事があるので休日もオフィスに素材を集めに出勤したりしていた。プレゼンまでに正味二日間しか猶予がなく、違うバージョンをやっているデザイナー達はデザインに一週間の期間を与えられていたのでわたしは遅れを取り戻そうと、休み明けの昨日は朝からテンパっていた。夕方になり、98パーセント終りかけの頃、ロゴをどこにおいてもしっくりこなかったのでシニアデザイナーにサジェスチョンをもらおうと声をかけた。

たくさん褒められて、よく頑張ったと言ってくれて嬉しかった。だけど、シニアデザイナーの目は厳しく、50パーセントのやり直しが必要で、翌日到着のフェデックスに間に合うように全力でやり直したけど結局間に合わなかった。

悔しかったのは、やり直しをさせられた事じゃない。彼が手直しを加えていく度、どんどん良くなっていくのを見ていると、なんでわたしは自分のデザインに満足して進めていたのだろうと思うと悔しかった。彼の良いものしかクライアントに見せたくない、妥協したくない、時間がないけど納得いくまで渡せない、という焦りと強いものが伝わってきて、わたしには欠けているものがあからさまに見えて涙が出た。

デザインというものは、技術とセンスが必要だ。わたしには技術がある。人並みのセンスもある(と思う)。だけど、仕事をしていく上で、自分の作り出すデザインで、人の目を奪う為には人並み以上のデザインセンスが必要なのだ。ある程度のルールを知っているだけではだめなのだ。色とか、大きさとか、余白の取り方とか、フォントのチョイスなどが複雑に絡み合うビジュアルが人々の目に留まって、そのデザインと、それを見る人々の間にコミュニケーションを齎さなければいけない。決まり事を守るだけではなく、習った事を応用するだけではだめなのだ。自分のなかにあるビジョンを明確に打ち出して、妥協を許さずターゲット層に刺激を与えなければいけない。わたしのやっていた事は不器用なマスターベーションだった。周りが見えていなかった。彼は人間的にパーフェクトでもなんでもない。むかつくし、プライド高いし、デザイン以外は本当に適当で汚いし。でも、彼のセンスにはかなわない。まかされたのに彼のレベルまで届かなかった。言われるまで気付きもしなかった。

センスってどうやって磨けばいいんだろう。