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地上6階ではなく地下2階に住んでいるような感覚になり、凄い暇を持て余していたのですが週末はそれに逆らわんでいいやないか、と惰眠と読書に専念しました。と言いつつも、起きて鏡を見たら豚になっていると嫌だったので、土曜日は3時間程度の散歩を実践しました。

伊坂幸太郎ラッシュライフを読みました。
読んでいて気付いたのですが、他の作品の中の登場人物と事件がリンクしておるんやね。この人の作品を読むならば、クロニカリーに読んだ方がいいね。作者の話はエンターテーメントミステリーが多く、登場人物や事件がリンクしていると言っても事件を覆すような大した繋がりは無いのですが、知っている名前が出ると、むへへ、となります。

読了感は確かにハレッとします。群像小説も嫌いではないのですが、時間軸のずれがある話があまり得意ではない(頭が悪い)ので、そっちを整理しながら読んでいたらそればっかり気になってしまいました。デザインされた小説は苦手です。でもテンポよく読めるので、飛行機とか、新幹線とか暇をつぶしたい時にはもってこいだと思います。

あとこの作家についてよく、会話が洒落ている、だとか言われていますがどうでしょうか。毎回よく気の利いたことポンッと返すね、という感じはしますけれど。大半は駄洒落の域を出ていない。


もういっこ。
カズオ・イシグロ/わたしを離さないで Never let me go を読みました。
こちらは対照的に一人称で描かれた記憶と思い出の物語です。無理に例えると、前者がフジテレビ制作の「踊る大捜査線」のような映画だとすれば、こちらは、是枝監督の「誰も知らない」的な映画になると思います。

話の骨格をなす問題はセンセーショナルなのに、淡々と進んでいく物語は目立った起伏が無く、牧歌的ですらあると感じるかもしれませんが、後半あたりから徐々に胸が締め付けられてゆきます。作者は男の人なのですが、主人公の女の子(成長してからは女の人)の目線で見える世界が装飾なく描かれています。飾ってないからこそ美しい、センセーショナルでないからこそリアリティーがある、ってそんな気がしました。