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哲学講義2-a:アリストテレス ( B.C. 384 ~ B.C. 322 )
@ カフェ on 6 Ave.

アリストテレスプラトンを師とする。プラトンが設立したアカデミアで学んだ後、自らの学校リュケイオンを開設した。

プラトンを師としながらもアリストテレスの哲学は師と正反対の立場を取る。アリストテレスプラトンイデア論を否定し、世界はどのように生成されているかについて自説を説いた。それは物質世界にわたしたちが存在する限り、イデアの世界を知り得ることはないのだから、自らの感覚的経験的に知り得ることに限ってのみ物事を理解すべき、とすることであった。然し問題とされる事柄を理解しようとするとき、その実態とそれぞれの感覚的考察は区別されなければならない。つまり、問題の事柄そのものを見つめることである。

アリストテレスによれば全てのものは変化し、そして続行性を伴う。変化するものは四つの事柄(What does it change, How does it change, Who does it change, and What Purpose) をから成る。例えば花の種があり、時間をかけて成長しやがて朽ち果てる。この場合、Whatは、その花をこうせいするもの、Howは、その花を形作る成分、Whoは、土、水、光などで、Purposeは、その花となること、である。この変化は絶えず続き、止まることがない。花はその花となる以前は種であるがその種はその花になる可能性を秘めており、実現されればそれは実現化された花となる。

アリストテレスは万物を4つの階層に分別する。下から、質料、無生物、植物、動物、人間、Immovable mover (日本の資料ではたまに’神’と訳されてしまう場合があるが、アリストテレス自身は神について論じたことはない。Immovable moverとはこの世界を動かす純粋で永遠である不動の動者、という意味合い)。

質料とは、ものを構成する物質のことである。無生物とは質料によって構成されたものであり、植物は栄養を摂取し、成長し、そして繁殖する能力を有する自然生物である。動物は植物の能力に加えて行動する能力を有しており、人間は動物の能力に加えて’考えて’行動するもしくは行動しない能力を持っている(理性)。

彼は人間のなかにも階級をもうけた。つまり、人間が人間であると同時によりよい人間へと変化する可能性を秘めているという点から、その能力を活かしていないものは人間として劣る、ということである。人間は人間であるが、より良い人間になる為には理性を伴う行動、知を得ることの欲求がより高等な人間になる為の条件であるといえる。


アリストテレスについては学ぶことがまだあるので来週もまだ続きそうです。そして、今回の講義は前に進むのが少し遅かったです。講師のランさんは丁寧に教えてくれていたのだけれど、わたし(達)が納得できない箇所が何カ所かあり、特にその花を花と(講義のときはユウコの皮膚を例にしましたが)足らしめているそれは、何らかの "it"であるように感じてしまい、わたしはそれではこのアリストテレスの哲学的世界観はプラトンと変わらないのではないかと思ったからです。例えば、5歳のユウコと90歳になったユウコ。成長して外見は変化しますが、ユウコはユウコである。ここまでは理解できます。前回のレモンの問題と同じです。いくら歳をとっても、髪型を変えても、整形したとしてもユウコはユウコのままです。ではユウコをユウコ足らしめているものは何か、と問う時、それはユウコがユウコであるという概念によってそれは解釈可能ではないのかと疑問に思ったからです。

然し、問題はユウコをユウコ足らしめるもの、それはユウコのなかにあるユウコという概念ではなく、刻々と変化するユウコの皮膚、ユウコの髪の毛、ユウコの骨、脳みそ、爪、目、口、などのユウコの構成成分ともいうべきものでした。講義中はみんなエキサイトするので論点が少しずれるときがあるのだけど(実はそれも面白い)、よくよく考えてみると、講義の最初に問題を見つめるときはそのもの自体を見つめて、実態の把握に努めなければならない、と教えられていました。

上のところには書いていないけど、(講義が終ってレストランに行く途中)の話のなかで、アリストテレスによると突き詰めれば構成要素は、火、水、土、空気だと論じたことがどうのこうのと、結構間違ったことも言っていたんだと話していました。でも今現在だからこそそういうことが言えるわけで、問題なのはアリストテレスが言っていたことは間違っていた、と指摘するのではなくモノの構成要素を解明しようとした、世界を理解しようと自分のやり方で試みた、その点が重要ではないのかということに話が至ったわけです。なんだか、こういう風に物事をとらえようとする姿勢って、生活するなかで重要だなと思いました。